完結編:あの時の島の台詞


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島「おい、ユキ… 俺は、キミが好きだった。最初にキミを見つけたの
  は、古代じゃなくて俺だったんだもんなあ、なぁ、ユキ?」

雪「…島くん…」(泣)

島「古代。どんなことがあっても、ユキを幸せにしてやれよ?」

古「分かった…、約束するよ!」

島「…ユキを辛い目に遭わせたら、承知しないぞ…」

古「…ああ!」

 島、自分の手を握っていた古代と雪の手を合わせてやり、手を離す

島「二人とも、俺の分まで 幸せにな、な…?」

古「島、おい、島ぁーーっ!!」


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 ぶわああああ。
 もう、書いてるだけでダメ。


 言葉には、すべてサブテキストがあると思って良いと思います。
 なんでここで彼はこう言ったのか。どんな意味がそこにはあったのか…。
 上に書き出した島のセリフにも、深い意味があるわけです。

 でもね、30年来「あの時の島の台詞に深いイミがあるなんて、考えもしなかった!!」のだ。考える云々というより、島が死んじゃうと言うまさにそのシーンで、セリフの意味なんか考えられない!!画面も見られない!!という状態だったんだもの。
 しかも、あの理不尽な負傷の理由、お医者様から見たら「助かるものを助けずに死なせたに近い状態」だという事実。そこへ持って来て、テレサとのことなんかなかったかのような「雪への好きだった告白」。傷口に塩を塗るとはまさにこのこと、島ファンとしては到底許容できるような内容ではなかった、わけです。

 ところが、今になってやっとあの時の島の台詞の意味が理解できた……

 これは、ERIが自分勝手にやってみたというだけの「勝手なキャラ分析」です。島大介の死に納得しろと、そう言ってるわけじゃありません。納得できないからこそ、30年も「完結編を無視してきた」んだし、サイトまで作って救命してるわけだし。

 ただ、本編の成り行きを史実とすると、あの悲し過ぎるコトの顛末にも大事な意味があって、こういう解釈の仕方が出来るんじゃないか、そうすればちょっとは溜飲下がるんじゃないだろうか……そう思って書いた駄文です。

 

*  *  *  *  *

 


(1)「おい、ユキ… 俺は、キミが好きだった。最初にキミを見つけたのは、古代じゃなくて俺だったんだもんなあ、なぁ、ユキ?」

 これはまず、「雪」に言っているセリフです。

 全体として、そもそも「島、なにこの局面でそんなこと言い出すの?!」というようなセリフの羅列なのですが、島が唐突に意味のないことを言い出すはずがない。彼の言葉の後ろにある意味を考えると、この最初の台詞は、ひとつには「死ぬんでもなけりゃ一生言わずにいるつもりだった」島の雪への気持ち…というのがあるのでしょう。
 けどもちろんそれだけじゃなく。

 雪は、この最後の航海に出る前、古代が致命傷を負ったのを見て後追い自殺をしそうになりました。直接雪の自殺を止めたのは真田さんでしたが、その事件は島の座席のすぐ後ろで起きたことであって、もしかしたら島も朧げに聞いていたかもしれないし、その後真田さんからはっきり聞いたかもしれない。そうでなくても、島は、雪が古代の危機に後先考えず飛び出して行くことを知っています。つい直前にだって、古代のゼロの後部座席に乗って、戦闘について行っていますしね。


 俺はここで死ぬけれど、君は生きろ、無事でいてくれ。

 何があっても(俺のように)死んだら駄目だぞ。

 なぜなら、俺は君が好きだったからだ。俺は君に、死んで欲しくないからだ…


 そういう意味合いがあったのだと思います。

 聞かされた方の雪も、もちろんそれがただのトンチンカンな告白じゃない、とすぐに察したのでしょう。言うなれば、これは島から雪への魂のバトンです。雪は古代を追って自殺しようとまでした前科がありますから、島がそのことも諌めているのだと、それも察したことでしょう。だから、雪はこれを言われた直後に泣き崩れてるんですね。

 そして、これは意図的なのかどうかはどうかは解りませんが、真田さんや沖田さん、他のみんなだって聞いてるにもかかわらず島が雪に「好きだった」なんて告白みたいなことを言ったのは、ボロ泣きしている古代を正気付けるためだった。少なくとも、そういう効果がありました。

 はっと古代が我に返った所で、今度は古代に語りかけます。

 


(2)
島 「古代。どんなことがあっても、ユキを幸せにしてやれよ?」
古 「分かった…、約束するよ!」
島 「…ユキを辛い目に遭わせたら、承知しないぞ…」
古 「…ああ!」


 次に、「古代」に言っている、この台詞。

「どんなことがあってもユキを幸せにしてやれよ?」とは。

 結局、復活篇での体たらくを見ると、古代はここで島に何を言われたのか、解っていなかったようですが…(苦笑)

 古代には、前科があります。
「2」の白色彗星戦でヤマトを単独で特攻に使おうとした前科。しかも雪を置いて独りで死にに行こうとした前科です。

 だから、島は「戦局がどんなに厳しくなったとしても、それ(特攻)だけはやめろよ」と釘を刺した。雪を幸せにするには、お前が生きて還らなくてはならないんだ。例え勝たなくてもいいから、お前が生き延びなくてはそれは実現しない。だから古代、死ぬなよ、と。

「雪を辛い目に遭わせたりしたら承知しないぞ」とは。

 雪にとっての「辛いこと」。つまり、古代のいない世界に独りぼっちにすること。
 雪を独りにするなよ…、どんな大義名分があっても。
 …ということです。
 島は、独りで生き残った方がどれだけ辛いか、身をもって知っているからです(泣)。 
 単独で特攻とか、絶対考えるなよ、と言いたいのです。テレサのことなんかなかったこと、みたいになっちゃってますが、そうじゃないんですね。
 古代、お前が特攻を選べば、それで地球が救われたとしても雪は辛い目に遭うことになる。それはいかん、と。そんなことをしたら承知しないからな、と。
 島は、テレサが単独で命を投げ出して救った地球に、独り生き存えることになりました。そんな思いを雪にさせたら承知しないぞ、と言っているんです。

 

 
(3) 島「二人とも、俺の分まで 幸せにな、な…?」

 そして、最後に二人に向かってそう言っています。
 つまり、「二人とも幸せになるためには、二人で特攻、というのも駄目だぞ。二人そろって生きて地球に帰ってくれ」、という意味です……

 
 ただの臨終の台詞として平べったく捕えれば、「最後に好きだなんて告白してて惨めったらしい」し、なんだかお涙頂戴な言い回しで、とてもじゃないですがバカらしくて聞いていられない。
 
 でもサブテキストを考えると、これ以上古代と雪にとって「正気に返らせられて」しかも「覚悟させられる」言葉はない、と分かります。
 こんな言い方は島にしか出来ないし、こう言えるのはやっぱり二人にとって島しかいないんですね…。
 真田さんには、こういう言い方は出来なかったでしょう。他の皆もそうです。

 そして、大事なのは、この島の最後の台詞は、「他の皆が聞いていると分かっていて言っている」ということ。

 

 つまり、「この二人を頼みます」と、島は他のみんなに言っているんです…。

 


 古代はバカで、戦局が絶望的になるとすぐ特攻しようとする。
 雪を置いて行こうとする。
 雪も同じで、衝動的に古代を追ってとんでもないことをしでかす(コスモクリーナーの時から彼女はそうでしたからね)。
 だから真田さん、沖田艦長、山崎さん、太田に南部、相原、徳川。みんな、この二人を頼む、と……

 島が、そう意図したか否かに関わらず。
 彼の一連の台詞には、聞いていた全員にそう思わせる力があった。結果的にみんなに「生きて還らなくてはならない」そう覚悟させるだけの影響力があった……と、ERIは感じるのです。

 …ぶわああああ。(泣)

 

 

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