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横になったまま背を向けて息を吐くテレサに、そっと寄り添った。
うなじにそっとキスを。
ただそれだけで、彼女の身体はまだピクンと震える。
「……ご…ごめん…なさ…い」
テレサがまた、謝った。
「なんで謝るの…?」
「だって……」
ゆっくりと寝返りを打ち、顔をこちらに向けた彼女の目には、うっすら涙さえ浮かんでいる。
「どうして泣くんだ」
「……だって、私……」
「一方的に一人で… ああなっちゃったから?」
ものすごく恥ずかしそうに、テレサは頷いた。
なんというか。
君は……最高だよ。
可笑しくなって、テレサを両腕で抱きしめた。腕の中へ、問い掛ける。
「いけないことだと思ってるの…?」
「…だ…だって、お…おかしくないですか…?」
「あれは、…気持ちよくてなるの?それとも、…嫌でなるの?」
彼女の目を覗き込むようにして訊いた。あんまり…見ないで。そう言いた気に、彼女は顔を背ける。
「……い…いやではありません。…だから。…恥ずかしくて」
だって。
あなたの…
身体の一部が…、私の身体の中に入ってくれるなんて。
……嬉しくて、泣きそうになって…。
それだけで……私…
「じゃ、もうちょっと長い時間我慢できるように練習しなくちゃ」
「えっ……」
「…あんなすぐじゃ、俺が、ついていけない」
「は……はい……」
ただし、おそらく。
女性の場合は射精がないから、何度でもオーガズムを繰り返し感じることは可能である。しかも統計によれば…、体験の少ない女性の場合、その恩恵に預かれるのはごく少数なのである。
解剖学上のその利点(?)を思い出し、俺はゆっくりと微笑んだ……
次は、彼女が先にいっちゃっても。
俺は立ち止まったりしないでいようかな、…って。
テレサの頭を腕に乗せて横になったまま……
俺たちはしばらく、黙った。
気がつけば、稲光はもう見えない。
雷鳴はどこか遠くで、猫の喉のような音を立てている。
静かな雨音だけが、屋根を打つ——
テレサが目を上げて甘えるように唇を寄せてきた。
その頬を片手で包み、口付ける。ついばむようなキスから、ディープなそれへと。
「………」
彼女はぎこちなく俺の前歯の裏を舌でくすぐった。そういえばさっき、俺がしたのと同じように。
お礼のつもりで、乳首を触ろうとすると小さく「イヤ」と言う。今は、とっても…敏感になってるから。
「じゃあ、…舐めるだけ」
「いやよ… それもだめ」
下も、触っちゃイヤです… 怒ったように胸と下腹を隠そうとする仕草が堪らなく色っぽい。
「それなら、…俺のを… 触ってもらってもいい?」
「………」
頬を染めた彼女は、俺が連れて行かなくても自ら手を伸ばし、まさぐってそっと握ってくれた。
「……小さい」
「あはは…」
彼女がビックリした!と言わんばかりだったので、さすがの俺も吹き出した。
「使う時だけ、大きくなるんだよ。そんないつでもMAXサイズじゃ」
しかし、そんなこと言ってるそばから途端に使用可能なサイズへと変化が起こる。
「……きゃ」
「触ってて…」
そのうち、君の口の中でこのサイズ変化を起こしてくれると嬉しいんだけどな。そう考えたらさらに加速した。
「テレサ… 好きだ」
「……私…も」
好きだと思うだけで、抱き合うだけで。
(そういえば、たったそれだけで… 濡れちゃうんだって、さっき)
まだ裸の下半身に、自分も手を伸ばした。
「あん…だめっ… だめっ」
狼狽えて腰を引く彼女を抱き寄せて…。
——本当だ。
初めての夜に、2回目…?
そんなわけにはいかないかな…?
だが、熱い息のテレサが耳元で囁いた一言に、思わず…笑みが浮かぶ。
「……練習、…します、一人で先にいかないように」
だから。
…もう一度…抱いてください………
雨が、上がった。
空には星が、瞬き始める。
俺は、君の記憶を書き換えられた…?
思い出したようにそう言った俺に、テレサは微笑んで頷いた。
「もう、…怖くありません……」
雷が鳴っても…
稲妻が光っても、きっと。
思い出すのは、初めてあなたに愛された夜のこと…。
——恍惚とした、夢のような時間。
——稲妻も雷鳴も…
あの船の礼砲も。
遠い空に…消えて行った。
——ただの歴史の一コマとして………
Fin.
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<ええと…>